robot android men running with speed shawdow

 

人工知能(AI)という言葉は昔からあり、ロボットの進化と合わせて、未来には「人間が機械に負ける」「人間対機械の時代がくる」と想像され、多くの映画や小説でも描かれました。ここでは、その鍵とも言える「人工知能」が果たして人間を超えるのか、そして結果として人間の雇用を奪うのかという論点について考えてみたいと思います。

人工知能発展の軌跡 そもそも人工知能という言葉は1956年に誕生したと言われています。当時は複雑な迷路の解き方や、人間にチェスで勝てるプログラムの開発などが進められていました。それは一部成功し、この方式で人間が保有するこれまでの経験・知識などをデータ化すれば、あらゆる分野で人間に勝てる処理を行うことができるだろうと言われました。しかし問題は、人間が持つ経験・知識が膨大すぎて、コンピューターにそれを全てインプットすることが困難であることでした。

人工知能の飛躍的発展を約束した出来事

その問題点を解決する出来事が起きたのが2012年、人工知能の大会でカナダのトロント大学が圧勝した技術をきかっけに始まります。それが「ディープラーニング」という方法です。これは、人間の脳の仕組みに似せて物事の認識を行うニューラルネットワークというモデルを組み合わせ、人間が行っている抽象的な概念を学習する能力を、コンピューターが自ら行えるようにする技術です。これによって人工知能は、人間から与えられる知識だけでなく、自らいろいろなことを学び、認識していく能力を持つことになります。こうしたトピックもあり、国家・企業ともこぞって人工知能のさらなる開発に取り組み始めました。

アメリカ政府は脳科学と人工知能の研究に年間100億円以上を投じているほか、グーグルは2014年からイギリスやアメリカの人工知能系ベンチャー企業を次々と買収しています。日本ではソフトバンクが、人工知能を備えたpepper(ペッパー)という家庭用ロボットを発売したことはコマーシャルなどでご存知の方も多いでしょう。またみずほ銀行が顧客からの問い合わせ対応に人工知能を利用している例や、人工知能を使ったスマートフォンアプリの開発が進んでいることについて国内ニュースでも取り上げられています。

nhknewsaaa

(NHKニュース・おはよう日本「進化する人工知能 ビジネス最前線」2015年2月19日

 

人工知能は人間を超えるのか

このように見てみると、人工知能の発展によって、いずれは人間が行っていた仕事は全てコンピューターに取って代わられる可能性も感じます。単純なルーチン作業は当然のこと、それ以外の高度な判断業務までコンピューターが行う時代が来るのかもしれません。それはサービスを受ける側としては利便性の向上につながり良い面がありますが、一方で雇用の減少や、全て機械化されることへの心理的な抵抗感、倫理上の問題なども検討が始まっています。コンピューターが人間の知能を超える境目のことを研究者は「シンギュラリティ」と呼んでおり、日本での人工知能の権威で人工知能学会理事・東京大学準教授の松尾豊氏は「シンギュラリティを超えないと言うのは、もはや難しいだろう」と述べるとともに、「開発と同時にルール作りも必要」として、人工知能学会に倫理委員会の設置を発表しています。

人工知能によって人間の雇用は破壊されるのか

このテーマは、いずれ人間と機械が対立する時代がくるのはないかという、映画で言えば「ターミネーター」ほか様々に描かれてきたものと同様の議論に感じます。つまり、自らが作り出した機械を果たして人間は未来永劫管理下に置き続けることができるのか、という論点です。その鍵は、やはり開発にあたる人間自身の倫理観や人生観、何のために技術開発をするのかという議論の展開を同時に進めていくことの重要性にあるのではないでしょうか。 かつてアインシュタイン、フォン・ノイマンはじめ天才的な科学者が、原爆の開発・投下後に「自分の研究が大勢の人を殺す技術につながったのではないか」という自責の念にさいなまれたという例をあげるのは大袈裟でしょうか? 今後の人工知能開発の推移を見守っていきたいですね。

 

著者:よっち
人事、広告、教育、新規事業など、国内・海外で様々な業界に従事。